流産について

流産の定義をご存知ですか?

流産の定義

日本産婦人科学会では「妊娠22週未満の妊娠中絶」を流産の定義としています。 妊娠12週未満の流産を「早期流産」、妊娠12週以降22週未満の流産を「後期流産」 といいます。

では、どのくらいの割合で流産してしまうのでしょうか?

全妊娠の8~15%に生じるといわれています。

流産の種類

切迫流産

おなかに張りや痛みがあり、出血が続くこともあります。 子宮にトラブルはなく、子宮頚管も閉じていて、胎児や心拍も確認できます。 腹痛や出血の症状が大きいほど、流産の危険があります。

切迫流産の治療

切迫流産と診断された場合には安静にすることが何より大切です。 外出はさけ、日常生活も最低限にとどめましょう。出血が続く場合や、症状が重い場合は入院を必要とすることもあります。 出血や症状が消えれば、徐々に元の生活に戻してもかまいません。 出産後の赤ちゃんへの影響もないとされています。

進行流産

今まさに流産が進行している状態を進行流産といいます。わずか数分のうちに赤ちゃんが外に流れていきます。進行が確定したら残念ながら止めることはできません。

進行流産の症状

規則的な強い腹痛と大量の出血があります。胎のうは小さくなりかなり変形します。子宮頚管が開いてしまって、胎児や心拍は確認できません。

進行流産の治療

進行が確定した後に子宮に残っている組織を取り除く手術をします。 進行している状態が完全流産に移行し、赤ちゃんや胎のうなどが完全に娩出された時は手術の必要がありません。

完全流産

強い下腹部の痛みと大量の出血をともなった進行流産後の状態。赤ちゃんと付属の組織は全て子宮からはがれてしまって血の塊となって子宮外に流れてしまいます。 子宮はかたく小さくなり子宮頚管は閉じ始め、心拍や赤ちゃんはもちろん、胎のうも確認できません。

不完全流産

陣痛のように強くなったり弱くなったりする痛みが続き、大量の出血があり子宮頚管は開いています。 胎のうが変形して、赤ちゃんや付属組織が血の塊となって流れています。心拍や胎児は確認できません。

不完全流産の治療

子宮内の赤ちゃんや組織を取り除く手術(子宮内用除去術)が必要になります。放置しておくと感染症を起こす可能性があるので、掻爬(そうは)という子宮内の組織をかき出す手術を受けます。

稽留流産(けいりゅうりゅうざん)

赤ちゃんが死んでしまっているのに、子宮の中にとどまっている状態を稽留流産といいます。

稽留流産の症状

進行流産と違って、出血や腹痛など自覚症状がないのが稽留流産の特徴です。胎のうの大きさは正常、もしくは小さめで、子宮頚管は閉じています。 赤ちゃんは死んでしまっているのに、その付属の絨毛や胎のうが少しの間は成長することがあります。そのため病院でも経過を慎重にみていくことになります。

稽留流産の兆候

胎児が現れる時期に(妊娠6~7週)なっても「胎児が確認できない」、あるいは「胎児は確認できたが心拍は確認できない」、「一度は確認できたが心拍がその後とまってしまった」などがあります。 稽留流産を放置していると必ず進行流産に移行します。強い腹痛と大量の出血をともない、危険な状態に陥る場合もあります。

稽留流産の治療

不全流産と同じように稽留流産が確定したら、子宮内の赤ちゃんや組織を取り除く手術(子宮内容物除去術)が必要になります。

院長からのひとこと

流産は、妊娠された女性すべての方に、ある一定の確率で発生します。不妊治療されている患者様は、妊娠できた事実を大きく受け止めて、次回の妊娠に向けて頑張ってください。 流産を何回も繰り返される方は、不育症という疾患になりますが、免疫漢方療法等で85%の方は、出産までたどりつきます。 現実をしっかり受け止め回復のための心と身体のケアを行いましょう。