受精方法の違いによる妊娠から出生児までの検討

日本受精着床学会 2016

(濱咲 舞・稲飯 健太郎・神崎 珠里・笠岡 永光)

目的

体外受精における出生児は年々増加している。媒精と顕微授精では、顕微授精を行った方が、より卵への侵襲が高い。そこで当院で行った体外受精で出産に至った症例について、妊娠から出生児において受精方法による差が見られるかどうか検討を行った。

方法

2011年1月1日~2015年5月31日までの期間に、凍結胚盤胞単独移植を行った590症例において、妊娠・流産・多胎・生産・死産、出生児の平均体重・平均在胎週数・平均アプガー5分スコア、出生児の異常を、それぞれの受精方法による差があるか検討した。

結果

結果は全て媒精・顕微授精の順で、妊娠率37.7%(84/223)・37.1%(136/367)(N.S.)、流産率34.5%(29/84)・19.9%(27/136)(P=0.015)、多胎率2.4%(2/14)・5.1%(7/136)(N.S.)、生産数55例(多胎2例)・104例(多胎2例)、死産0例・2例(1例は多胎)、出産時の児の異常における差はなし、平均出生体重3018.6g・3051.1g(N.S.)、平均在胎週数39W5d・39W4d(N.S.)、平均アプガー5分スコア9.27点・9.16点(N.S.)であった。児の異常は媒精群では先天性右外反偏平足1例、顕微授精群では脳低形成(多胎のうちの一人)・右手多指の2例であった。流産率は顕微授精に比べて媒精の方が有意に高かった。しかし、出生児に関してはどの検討項目にいても有意な差は認めなかった。

考察

流産率の差については、各妊娠群のバックグラウンドを検討した結果、媒精群の平均年齢がやや高いことが一つの要因になっていると思われる。しかしその他の検討項目においては、妊娠から出生児に与える影響は媒精と有意な差は認めなかった。以上の結果より、顕微授精由来胚は媒精由来胚より胚の侵襲は大きいが、顕微授精操作による妊娠から生産までの影響は少ないと考えられる。